RPA(Robotic Process Automation)とは、ソフトウェアロボットを利用して、人手で行っていたルーティンな業務プロセスを自動化する技術です。データ入力・書類作成・帳票出力などの定型作業を自動実行できます。2026年現在、AIやAIエージェントとの連携によるインテリジェント/エージェンティックオートメーションへの発展が進んでいます。
人手不足・業務効率化・DX推進という複数の課題を抱える企業において、RPAは定型業務を自動化する手段の一つとして活用されています。一方で「AIの登場でRPAは不要になる?」という疑問を持つ担当者も増えています。
Precedence Researchによる推計では、2025年の世界のRPA市場規模は約283億1,000万ドルと推定されており、2026年には約352億7,000万ドルに成長すると予測されています。2035年には約2,473億4,000万ドル規模まで拡大し、年平均成長率(CAGR)は約24.2%に達する見込みです(市場調査会社によって定義・数値が異なるため参考値としてご参照ください)。
本記事では、RPAが注目される理由・今後の進化・課題・AI時代における位置づけをまとめて解説します。
※本記事の市場規模・予測値は執筆時点(2026年7月)の情報です。最新情報は各調査機関の公式サイトでご確認ください。
目次
- RPAが注目される理由
- RPAの今後の進化
- RPA導入時の主な課題
- AI時代のRPAの位置づけ
- よくある質問(FAQ)
- まとめ
1. RPAが注目される理由
RPAが注目される背景には、以下の理由があります。
作業の効率化
ルーティン業務を自動化することで、人手で行う場合よりも効率的に業務を処理することができます。複数のアプリケーションをまたいだデータ入力・転記・集計など、これまで手作業に多くの時間を費やしていた業務を自動実行できます。
コスト削減への期待
対象業務や運用方法によっては、作業時間の短縮や人件費を含む業務コストの削減が期待できます。ただしRPAにはライセンス費用・開発費・保守・運用コストも発生するため、導入前に費用対効果を試算することが重要です。
IMARC Groupによる推計では、日本のRPA市場は2025年に9億1,120万米ドルに達しており、2034年には57億8,370万米ドル規模に成長すると予測されています(CAGR 22.79%)。
エラー低減
人手による業務プロセスはミスが発生する可能性がありますが、RPAによる自動化は設定されたルールに従って一定の手順で処理するため、人的ミスの削減に役立ちます。
人手不足への対応
少子高齢化による労働人口の減少が続く中、RPAは「デジタルレイバー(仮想的な労働力)」として、定型業務を自動化することで人手不足への対応を支援する手段の一つとなっています。
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2. RPAの今後の進化
今後のRPAの進化として、以下の方向性が進んでいます。
AIエージェントとの連携(エージェンティックオートメーション)
AIやAIエージェントとRPAを組み合わせる動きが活発化しています。AIが判断・計画を担い、RPAがルールベースの処理やシステム操作を担うアプローチが広がっています。
UiPath・Automation Anywhere・Microsoft Power Automateなどの主要RPA/自動化プラットフォームはいずれもAIとの統合機能開発に取り組んでおり、「RPAかAIか」という二者択一だけでなく、両者をどう連携させるかも重要なテーマになっています。UiPathは2026年現在「Agentic Automation」を前面に打ち出し、AIエージェント・ロボット・人をオーケストレーションするプラットフォームを展開しています。
マルチエージェントを活用した業務自動化の実証・導入
単一エージェントが単一タスクを処理するのではなく、複数の専門エージェントが連携してワークフロー全体を処理するマルチエージェント構成の実証・導入が進み始めています。
想定される活用例として、受注メールの解析から在庫確認・見積書生成・承認依頼まで一連のプロセスを自動化するような「非定型業務の連鎖処理」があります。ただし完全自律型エージェントは多くの企業ユースケースではまだ準備段階であり、人による監督・承認を含めた運用設計が重要です。
クラウド型RPAの普及
クラウドサービスとしてのRPA提供が進み、初期投資を抑えて導入できる選択肢が増えています。
プロセスマイニング・分析機能との連携
RPAプラットフォームでは、プロセスマイニングや監視・分析機能との連携が進み、業務プロセスの可視化や改善に活用されています。
人間とロボットの協業(ヒューマン・イン・ザ・ループ)
AIやRPAによる自動化では、人による確認・承認を組み込むヒューマン・イン・ザ・ループ型の運用も重要になっています。ロボットが処理できない例外や最終判断の場面で人間が介入する設計が、信頼性の高い自動化につながります。
3. RPA導入時の主な課題
RPAの導入にあたっては、以下のような課題を事前に理解しておくことが重要です。
スケーラビリティの問題
RPAは単純な定型タスクの自動化に向いています。より複雑な業務プロセスに対応するためには複数のRPAロボットが必要になることがあり、管理・監視・配置にかかる工数が増大するリスクがあります。
業務プロセス変更への対応
対象システムのUIや仕様変更によってRPAシナリオが正常に動作しなくなり、修正が必要になる場合があります。こうした保守負荷が課題となる場合があるため、業務変更時のメンテナンス体制を事前に設計しておくことが重要です。
セキュリティへの対応
RPAロボットは機密情報や個人情報にアクセスする場合があります。アクセス制御・ログ管理・監視体制の整備が必要です。また、RPAを活用するBPO委託先を選ぶ際は、プライバシーマークの取得やISMS認証の有無・情報セキュリティ体制の確認が重要です。
属人化とコスト管理
RPAの開発・保守を特定担当者に依存すると、属人化するリスクがあります。また、利用規模の拡大に伴ってライセンスや運用コストが増える場合もあります。RPA運用ノウハウを特定の担当者に依存しない体制づくりが求められます。
業務プロセスの理解と整理が先決
RPAを導入する際には、自動化する業務プロセスを正確に理解する必要があります。業務フローが整理されていない状態でRPAを導入しても効果が出にくく、まず業務の可視化・整理を行ってから自動化に取り組むことで、自動化対象の選定や効果検証を行いやすくなります。
4. AI時代のRPAの位置づけ
「生成AIが普及した今、RPAはもう不要では?」という疑問がよく聞かれますが、現状は「置き換え」ではなく「役割の再定義」が起きています。
RPAが引き続き有効な業務
ルールが明確で、同じ手順を安定して繰り返す必要がある処理では、RPAが引き続き有効です。API連携が難しいレガシーシステムへの画面操作自動化も、RPAが強みを発揮する領域です。UiPathも、予測可能でルールベースの低複雑性業務ではRPAの方が高い効率性・信頼性・精度を発揮すると説明しています。
AIが向いている業務
生成AIは文章の理解・分類・要約・生成などに優れており、定型ルールだけでは処理しにくい非定型業務に向いています。
AIエージェントが向いている業務
AIエージェントは、目標に基づいて複数のツールや処理を組み合わせ、タスクを自律的に遂行することが特徴です。ただし、完全自律型エージェントは多くの企業ユースケースではまだ導入・検証段階であり、人による監督・承認を含めた設計が推奨されます。
AI+RPAの連携が拡大
AIとRPAを組み合わせる活用が広がっています。AIが判断し、RPAがデジタル上の操作を実行するという役割分担により、自動化の範囲がさらに広がっています。
| 業務の種類 | 向いているアプローチ |
|---|---|
| 定型入力・転記・レガシーシステム操作 | RPA |
| 文章の理解・分類・要約・生成 | 生成AI |
| 目標に基づく複数ステップの処理 | AIエージェント(人による監督・承認を含めて検討) |
| 判断→実行の一連の処理 | 生成AI+RPA連携 |
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5. よくある質問(FAQ)
Q. RPAとは何ですか?わかりやすく教えてください。
A. RPAとは、ソフトウェアロボットがパソコン上の定型作業を自動実行する技術です。データ入力・コピー&ペースト・ファイル操作など、人間が画面上で繰り返し行う作業をロボットが代わりに行います。ノーコード/ローコードで構築できる製品もありますが、本格運用では業務設計や保守体制が重要です。
Q. AIが普及した今、RPAはまだ必要ですか?
A. 必要です。生成AIはテキストの理解・生成・判断が得意ですが、API連携が難しいレガシーシステムへの画面操作や、同じルール・手順を一貫して実行する必要がある定型処理はRPAが得意とする領域です。2026年現在はAIとRPAを組み合わせる活用が広がっており、それぞれの特性を活かした使い分けが重要です。
Q. RPA導入で失敗しないためのポイントは何ですか?
A. 主に3点あります。①まず業務フローを可視化・整理してから自動化に取り組む②システムのUI変更などに備えたメンテナンス体制を事前に設計する③特定の担当者への属人化を防ぐためドキュメントと引継ぎ体制を整備する、です。
Q. 中小企業でもRPAは導入できますか?
A. できます。クラウド型RPAの普及により、初期投資を抑えて導入できる選択肢が増えています。まず1つの定型業務に絞って試験導入し、効果を確認してから拡大するアプローチが推奨されます。
Q. RPAとBPOはどう組み合わせて使えばよいですか?
A. BPO事業者がRPAを活用して業務を代行するサービスも提供されています。自社でRPAの開発・保守をすべて担う負担を抑えながら、自動化を活用できる選択肢として検討できます。ただし委託元においても、業務変更時の連携やベンダー管理などの体制整備は引き続き必要です。
まとめ
RPAは2026年現在も活用が続く業務自動化技術であり、AIエージェントとの連携によって役割が再定義されつつあります。
- RPAが引き続き有効なこと:ルールが明確で安定した繰り返し処理、レガシーシステムへの画面操作
- AI時代のRPAの位置づけ:「AIエージェントとRPAを組み合わせ、AIが判断・計画を担い、RPAが処理・操作を担う」アプローチが広がりつつある
- 導入時の注意点:業務フローの整理が先決、メンテナンス体制の設計、属人化防止、費用対効果の事前試算
「業務自動化を進めたいが、どこから手をつければよいかわからない」という企業には、RPAで自動化できるノンコア業務のシナリオ化から支援するBPOサービスの活用も有効な選択肢です。
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